今こそ登場せよ

    過去におこったいろいろのできごとを、クヨクヨと思い煩っていてはいけない。過去は、もう過ぎ去ったのであって、ナイのである。未来は未だ来たらないから、これもまたナイ。未来に起こるであろうところの不幸をおそれて、クヨクヨ取越苦労をしてはならないのである。
     しからば、現在はどうか。現在がいかに苦悩に充たされていても、それがいかに暗黒に見えていても、それは「仮相」あり「実相」ではない。すなわち、それは仮の姿であって、神様のおつくりになった世界の真実の相ではないから、ナイのである。かくの如くして、過・現・未来は、本来ナイのである。あるのは、完全円満な、神のいのちそのものなる「今」であり、それは時間空間を超越したところの″久遠の今″である。そこで吾々は、この「今」をこそ生き抜かなければならないのである。
   私達は、取越苦労や持越苦労をしてはならない。今、やるべきことに全力をふるえ。その「今」の中に、過去をつぐない、未来を約束する″生命の種子″が播かれている。いかに現在が不幸のようにあらわれていても、たとい行き詰まっているようでも、そのような仮の相は、 「今を生きる」ところのあなたの前には、雲散霧消する。

今、今、今断固として立ち上がれ。一切のなげきも悲しみも、希望の光によって消し去ってしまえ。あなたのたくましい生命力は、神から与えられた「霊の火花」である。あなたは、過去を思わず、未来を苦慮せず、今やるべき仕事に突進するのだ。かくてあなたは、たちどころに「世界の王者」となる。なぜなら、世界はあなたのために神が準備し給うたところの”舞台”だからである。
   あなたは、世界の混乱や、祖国の不安によって、心を暗黒化し、行動や決意をにぶらせていてはならない。今″舞台″は、あなたという″主役″の登場を待ちのぞんでいる。そのためにこそ″舞台″には光がないのだ。あなたは、光り輝く″舞台″に登場するのではなく、あなたが登場するとき、そしてあなたが、大いなる第一声を放つ時、その時″舞台″には光が放たれるのだ。
   今さらあなたは、何を躊躇するか。あなたの登場を、全世界の″観客″が待っている、あの心からの叫びが聞こえぬか。それは、あなたの活躍を待ち望む人々の胸の中の声だ。今たて!今こそ立ち上がって、あなたのやれるすべてのことをやりつくせ。あなたはまだまだ全力をふるっていないではないか。あなたが「今」を生きるべき時は、まさに「今」なのである。

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